今回は、NFTアーティストへ直接お話を伺う特別インタビューです。
菊池洋勝さんは、独自の世界観で俳句を制作、ピクセルアートでのNFT化やAI画像生成NFTを精力的に発信し続けていらっしゃるアーティスト。
そんな菊池さんに今回お話をうかがうことができました。
ーコミュニケーション手段としてのガラケー連句が俳句のはじまり
25,6歳の時、地元の医大の医学生のボランティアサークルがあり、学生ボランティアと交流が始まりました。
私が先天性筋ジストロフィーを患っていることもあり、ボランティアには公私で大変お世話になりました。
ただ、ボランティアの方にも当然色んな波があって、時には人間関係が途絶えがちになることもあり、それを自分で何とかできないかと考え、90年代当時ガラケーのSMSを使って連句をやったのです。
私が5,7,5を書いて、相手が7,7を返す、というように。
これが重要なコミュニケーションツールとなりました。
そうしているうち、医大の学園祭で、一年間貯めてきた連句を、A3のコピー用紙に印刷して、小学校の遠足のしおりみたいに二つ折りにして、初めての句集として出しました。
ー俳人としてのデビュー
以降、ネットが進化して今度はYoutube Liveなんかも始まります。
そこで目に入ったのが新宿歌舞伎町の俳句一家 屍派で、新宿から句会をライブ配信していて、外部からでも句を募集していたので応募してみました。
そうこうしているうち、句会のビルが取り壊しになり、句会自体が終わって、残念に思っていたところ、当時の参加者の俳句をまとめた アンソロジーが発表されたんです。
これが私のデビュー作となり、アウトロー俳句と呼ばれてその評判も良く、その後「聖樹」という個人の句集を発表することもできました。
私自身はアウトローという自覚はないのですが、俳句の背景にある世界観、個人的な背景を読み取って頂いているんだろうと思います。
最初は2022年春に知人から俳句をNFTにしないか、と声をかけて頂いたのがきっかけです。
彼とアイデアを出し合って生まれたのが、8ビットフォントの俳句NFTでした。
まるで80年代のファミコン、ドラゴンクエストのような文字が気に入り、実際にOpenseaで販売開始しました。
その後、2022年秋にVAiABLEさんと出会いがあり、VAI!アートでの俳句NFT作品の取り扱い、そして俳句を素材としたAI画像生成という新しい挑戦をはじめました。
実は、中学生の頃から、俳句より新聞の風刺漫画が好きで、社会とか時事を斜めに見る、漫画家になりたいと漠然を思っていましたし、今もNPOの機関紙の表紙を描いています。(たすけあう栃木づくり)
なので、AIアートには元々興味がありました。
AIアートで気を付けているのは、「余白」です。
すみずみまで隙間がなく生成された画像は、「余白」がなく完成されすぎています。
私がやりたいのは、絵とテキストによるAIとの連句と言ってもよいかもしれません。そのためにはやはり「余白」が重要なんです。
今は絵を描くために自分で手を動かすこともできますが、今後筆が持てなくなる時が来るかもしれない。そのような時でもAIの力があれば、作家としてしばらく続けられる、と思えるのです。
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※文中の記述は2023年2月インタビュー当時の内容です。